† 一期一会～ゴスロリvsファッション †

これは好奇心で着てしまった時の姿
（番組とは無関係デス）

先日、NHKの一期一会っていう番組を見た。 テーマは忘れたけど、「流行のファッション」の人と「ゴスロリ」の人の対決・対談。

見所の構図としては、こんな感じだった。
「いち早く社会人として活躍している 流行重視側の女の子」が、
「自分の世界（ゴスロリ）を貫く 個性絶対側の女の子」に対して、「過ちを改めよう」と言う雰囲気で色々と説得をしていたのが印象的だった。

これをね、「どっちが正しい」とか「支持する」とかよりも、 私は、二人の心理的本質に興味を抱いて見てたんだ。

二人の印象と分析

私のうろ覚えの記憶なので、あちこち間違いがあるかもしれないけど・・・

まず、流行重視の女の子。

• この人は、ファッションには流行に乗ることに価値を置く ファッション誌の編集者。
• 背が高いコンプレックスなどもあり、学生時代から 世間や周囲と折り合うことが 大事だと思ってきたと言うカンジ。 友人の多い人。
• メイクはバッチリと 目はパッカリ、アイブローを巻き上げて、カワイイ系をちょっと混ぜつつ 雑誌の購買層から比較すると さほど派手すぎず。ファッションのコーデも出来ている。
• 既に 社会人として 活躍しており、編集の仕事でも 自分の価値よりも 世間のニーズを優先する考え。
• ゴスロリの娘に対して、「ゴスロリのまま、ニートになっていいのか」「バランスが大事」と説得していた。

次に、ゴスロリの子。

• 常にゴスロリを纏いまとい)、流行などには興味が無い学生。
• イジメられたトラウマからか自分を模索した時期があったが、ゴスロリに出会って 自分の世界としてのゴスロリに目覚める。
• 確かにゴスロリだけども、メイクとかの技術や気遣いは まだ未熟な面は感じた。
• 流行重視の説得にも、「自分の個性」にこだわりを見せつつ、反論の主張や理念に欠けていた。

流行重視派

流行重視っ娘は、自分に対しての 社会の評価に ビンカンデリケートな人だ。 学生時代から 周囲の目や評価に注意し 同調することで、周囲からの攻撃を避けることが 大事なことだと思っている。 外交力による防衛だね。

だから この人にとって、流行のファッションとは 自分の本質を守る大事な防衛策なのだと思う。 若い女性層のファッション誌の編集者として、評価を下げることの無い ファッションコーデやメイクに気を使っているのも、その表れ。

人付き合いが良いのも、その周囲への警戒心から 気使いの良い人間となり、自然と交友力が高くなる。

プライベートだけでなく 仕事の上でも 「自分の好み」よりも「流行・ニーズ」が優先されている場面もあった。 この職場は 流行を知る優位的な立場から　気に入ったのかもしれないけど、同時に 仕事面でも自分のセンスを封じなければならない立場でもあるんだね。

・・・仕事を頑張って、もっと自分のセンスを主張できる立場になったら、この人から見える社会ってのは　変われるかもしれないね。

でも今、どこかで 自分の個性というものを埋没していることに、フラストレーションは生んでいるだろうね。 だからこそ、ゴスロリの娘に対する （人間関係に神経を使う この人としては）特に攻撃的な（脅迫的な）説得工作が垣間見えた。 あれには ジェラシー含みの異質な空気を感じた。

ゴスロリへの羨望を抱きそうになる自分を抑えたくて、 理論武装して攻撃することで個性絶対重視を貫く生き方を客観的に否定し、 どうにかして自分を納得させようとしたのだろうか、「届かない あのブドウは きっと酸っぱい」とね。

これに対して ゴスロリ娘が巧く反論できなかった場面で、この人は安堵したことだろうな。

自分重視派

この人は、基本として他人や社会を信じていない。自分で自分を守るタイプだね。 それはイジメ経験から　身に付いたんだろうな。

その自己防衛の鎧として、ゴスロリが ピッタリとハマったんだね。 非日常的 非世間的で 黒く カワイイ服は、「私は こういう人間だ。合わないやつは近寄るな。」という警戒色のスズメバチのような感じだね。 冷たい視線など社会的評価などよりも、積極的な無視（裏切り） と 積極的な攻撃には 恐怖を抱く。 だから 認めないやつは 始めから かまって欲しくないし、知り合いにも成りたくは無い。 それが 世間的には奇異で奇抜な、ストイックな 黒ゴスロリは、この娘なりの戦闘服なのだ。

だけども、本来は淋しがりやな面もあり、ゴスロリのフィルターを通してゴスロリを認めてくれる人間には、非常に嬉しさを覚えるんだね。 写真撮影とかにも優しく応じる姿が 映像にあった。それが奇異の目だろうが あまり気にはしないし、そんな注目の質は大事ではないんだと思う。 メイクがあんまり巧くないこととか、ゴスロリも コーデや服選びに甘さがあったのは、世間評価を気にしていないせいじゃないかな。

「注目」という行為は、自分という存在を 「攻撃もせずに 静かに存在を認めてくれていること」と 等しい。 視線を受けるだけの静かな感心を持たれる一時は、 この娘を平和な時間に浸らせる。

流行重視派の理論武装された説得工作にも、「ゴスロリの自分」が捨てられないのは、 ゴスロリという防壁の中の 静かな世界を失ったときを想像すると、厳しい社会の攻勢に晒される恐怖が潜在意識にあるから。 ゴスロリの警戒標識を外したときに、世間に跋扈している「イジメや裏切りをする悪人」がまた近寄ってくる。 それを巧く交わすことも 跳ね除ける自信も無い。だから、ゴスロリを脱ぐのは怖い。

そして、実は傷つきやすい心で　あまり交友を拡げないタイプであろう女の子なので、もしもゴスロリを捨てたとき その後の自分が存在できる自信は持てないだろうと思う。 誰だって、自分の拠り所にしているものを捨てるのは、怖いのだ。それは、宗教であったり、社会的地位であったり、この娘は　それがゴスロリだというだけのこと。

社会から自分を守る象徴のゴスロリを失うことは、理屈でどう説得されても、心理的に怖くて 抵抗を覚えるんじゃないかな。

ファッションとは 自己存在のシルエット

世間との融和 そして 社会的評価を高める その策として 流行を武器にする女の子と、 世間との隔絶 そして 個人的エリアを死守したい その策として 流行を拒絶する女の子。 実は どちらも 自分の心を守り 自分の立場を守る、同じ目標を目指していながら、ただ その手法や道選びに違いがあるだけとも言えるね。

私は、ゴスロリっ子に近い方の人間。 奇異な目で見られているであろうと覚悟はしているけど、今でもゴスやパンクっぽくしている。 仕事さえ しっかり出来ていれば 問題ないはずだし、プライベートの奇異な服装の何が悪い？って思ってる。

私は そういう服装の自分が好きだし、それは判ってくれる人だけが判ってくれれば良いって感じ。 でもね、幸いにも 私の（通勤時の）服装は 職場でも 理解を得ていますよ。

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追記～勝手にアドバイス

（1/17 追記）

私がゴスロリの子にアドバイスするとすれば、メイクやコーデのセンスやテクを頑張って、もっと極めてみる手が有るってこと。「世間に合わせる」というよりも「世間に認めさせる」ぐらいの気構えもアリだと思うよ。相手の子が言っていた様な「世間を取るか ゴスロリを取るか」という単純対立軸には惑わされないで欲しい。私のように、ま 安月給だけどもさ、仕事もしながら　私服通勤でやれてる人間は居るよ。

ただ、彼女の言うバランスも一理が有るってことも大事ね。具体的に言えば、「美しいゴスロリ」「華麗なゴスロリ」で 世間にゴスロリを認めさせりゃいいのよ。・・・心理的に拒否反応を起こすような「デスメイク（死化粧）」のような方向では 単なる奇人変人 気味悪い女で終わってしまう。どうせなら、「ゴスロリって良いね♪」と言わせる そういう方向でいけば良いじゃん。

あと、ファッション流行主義の子にもアドバイスがあるとすればね、 「流行っていうのは、どこかで誰かが 仕掛けていたり、広めようとしている人間が居るから 生まれるんだ」ってこと。それはファッション業界でもあるし、マスコミでもある。「既存の流行を拒否することによって、新たな流行は始まる。」・・・それを判っていないんじゃないかな。

つまり、アナタは流行に乗って記事を書く・・だけでなく、流行を仕掛ける側の人間でもあるんだってこと。自分の職場の意識には無いかもしれないが、 そういうファッション流行を切り開く気構えが無いと、ファッションの記事を書くにも いつも過去追いとなって いつか限界が出てくると思うよ。

だから、隙あれば、自分のセンスに自信があるときには、自分で流行を生み出すぐらいの勇気を持っていい。そういう機会を逃さないためにも、流行の匂いを嗅ぎ回るだけで終わらずに、業界の最先端の取材をチャンスとして、常に自分の信じるセンスを磨いておけば、絶対に良いと思うよ。