† 苦しみは陰のように、幸せは陽炎のように・・・ †

NHKで、不妊に悩む人たちの番組を見ていた。 なるほど、出産高齢化に伴い、不妊という問題は大きくなりつつある問題だよね。

色々難しいことがあるし、社会的な環境も良いとは言えず、 結婚しても子供が出来ない精神的な苦痛も、 経済的な負担も小さくない、その悲痛な心境も当然かもしれない。

しかし、私は ふと、思った。

不妊どころか結婚も出来ず、結婚どころか その相手候補も居らず、恋人も友人も居ない私って、 いったい何なのだろう？

これ、私が意識していないだけで、私は すごく不幸な境遇なのだろうか？

だって、不妊以前に、恋人も、結婚も、出来てないんだよ。 そういう人ぐらい、社会的に いっぱい居るでしょ。

私は 日々、睡眠不足と残業の毎日で、いっぱいいっぱいなんだよ。 働いて 食べていく その毎日で、「不妊で子供が出来ない」なんてことさえ考えられない状態なんだもん。

不妊なんて、幸運にも恋人が出来て、さらに幸運にも結婚できて、その先の世界なんだから。

友達が居ない苦しみ、恋人が出来ない苦しみ、結婚できない苦しみ、その先に、子供が出来ない苦しみだって。 人間って、どこまで行っても 苦しみがあるってことじゃないか。

じゃぁ、人間にとって、幸せって どこにあるんだろう。 どこまで叶えば 幸せとなるのだろう。

「不妊という問題が贅沢な悩み」だと切って棄てるつもりはない。 あの人たちは あの人たちで 苦しんでいるんだろうとは思うし、 少子化の日本社会にとっては 解決したい問題だ。

けど、率直に言って、不妊の問題について、私は あんまり心に響かなかった。 なんか なんていうか、別世界の人たちを見ているようだった。

不妊という苦しみのステージさえ　遥かに届かない 私のような人たちに、 社会的に 憐憫や同情や理解など 与えてくれるというのだろうか？

この先、恋人が出来る幸せを得て、結婚できる幸せを経て、それでも、 その先の不妊ということで 苦しい苦しい と呻かなくてならないのだろうか。

そんなことを思っていたら、 なぜか 「生きているだけで丸儲け」という明石屋さんまの言葉が湧いて出てきた。

お金持ちが人脈つくりに励もうと、やたら有名で高価な服装で、いつもパーティに出かけていく姿を見たとき、 それは 果たして幸せなのか、ふと疑問に思ったりもする。

私は、卵かけ納豆ご飯を食べたりとか、デザートを食べるだけで嬉しい人間なので、 グルメたちのが美味しいものを求めて、情報を渇望し、あちこちに彷徨う人たちが 大変そうに見える。

幸福って、絶対的座標を持たない相対性理論なんだろうな。 他人にはどのくらいの不幸か判らないのだろし、自分にもどのくらいの不幸か判らないのだろう。

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「苦しみ」とは 陰みたいだな。 どこまで行っても、 足下に纏わり憑いて(まとわりついて)くる。

「幸せ」って、陽炎(かげろう)みたいだな。 どこまで行っても、指先から 逃げ去っていく。

そんな、まるでお釈迦様の説教のようなことを思ってみたりした。